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GMノート 2021.08.06 18:00 (UTC+9) 【ガイド】黒い砂漠ストーリー #2 - 年代記・下編
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黒い砂漠ストーリーガイド - 一気に読む総まとめ 

※ 本ストーリーガイドは海外のサーバーで黒い砂漠を楽しんでいる冒険者様、「ユ・ジェウ」さんの経験を基にご本人がご自身で作成した投稿であり、原作者のご同意を得たうえで原本を翻訳した内容です。

原文:https://www.inven.co.kr/webzine/news/?news=230736&site=black

 

年代記・上編の最後でカルフェオンとバレンシアのうんざりするような30年戦争は巨大な砂嵐により幕を下ろし、その後、台風と干ばつ、地盤沈下などの相次ぐ自然災害によって黒い砂漠の大陸は全体的に姿を変えることとなった。

 

続く年代記・下編では、このように変化した大陸の物語からユーザーが初めてプレイするまでのストーリーを見ることができる。そしてここからのシリーズでは、ユーザーがゲーム内で直接向き合うことになるメインストーリーラインに関する内容をまとめていく予定だ。それでは、本格的な冒険に先立ち、最後の歴史を振り返ってみよう。

 

▶黒い砂漠 ストーリー#1 - 年代記・上編へ

 

 

※ 公式ホームページの歴史、NPCのセリフや知識などを参照して作成しました。

※ 本ストーリー記事はシリーズで連載されます。

 

 


エリアン暦268年

タリフ村でまた新たな災いの前兆が見られる

 

 

メディア西部のジュナイド川に面した小さな村「タリフ」はソーサレスたちが集まる村で、代々外部の出来事に関心がない閉鎖的な村だった。約300年前、東の地からやってきたソーサレスのカルティアンが群れを率いてメディアに定着しタリフ村を作った。タリフの犠牲を伴う歴史の新たな始まりとなった。タリフの規律は、村を設立したカルティアンが死ぬ前に残したカルティアンの書を基に続いてきた。

 

この魔法書にはタリフのソーサレスが守るべき規範だけでなくカルティアンの力が含まれていたが、やがてカルティアンの書は手に負えない力になってしまった。拠点を移したソーサレスたちが少しずつ力を失っていたからだ。カルティアンの書の呪術が強力すぎたため、それを習得した者は限界を克服することができず、肉体的または精神的に衰弱し始めた。

 

そのうえ、カルティアンの書は破棄されることもなく、燃えることもなかった。このため、村で最も強い指導者たちはカルティアンの書を危険視し、本の周辺に結界を一つずつ加えていった。そうして本物のカルティアンの書は封印され、後世にとって危険な部分を除いて新たに作成されることになった。

 

▲タリフ村で先生が見習いソーサレスに体の浮かす方法を教えている。

 

▲カルティアンの書の筆写本。本物は封印されている。


エリアン暦270~273年

バレンシアの成長とメディアの大都市アルティノの誕生、そしてイレズラの登場
 
 

一方、西大陸との30年戦争後、バレンシアの新しい王になったトルメ・ネセルは教養溢れる王だった。彼の統治の下、バレンシアは占星術、天文学、神学などが大きく発達し、大砂漠の豊富な黒結晶を資源として富を築いた。バレンシアは自然に恵まれており、誰も手が出せない強国として浮上した。バレンシアの民は過去の歴史はさておき、唯一神アールの意に従って、より豊かな人生を求めて暮らし始めた。

 

そして、ネルダ・シェン率いるメディア商人会もこれまでカルフェオンとバレンシア間で蓄積してきた莫大な富を首都建設に注ぎ込み始めた。そうしてついにエリアン暦273年、これといった中心地がなかったメディアに大都市アルティノが誕生した。

 

アルティノに城壁ができると、各地の商人や住民らが歓声をあげながら集まった。また、城壁ができたことによりこれまでメディアの悩みの種だった野蛮種族の動きは弱まり、アルティノを除き周辺は静寂さえ感じられるほどだった。しかしその頃、メディア郊外のタリフ村で、密かな動きが起ころうとしていた。

 

▲バレンシアは大砂漠の強大国となった。

 

本来、イレズラという女性はアーホン・キルスの次にタリフ村の指導者と目される人物だった。ところがイレズラは黒い石、すなわち黒結晶の力に好奇心を持ち、広大な黒い砂漠の下に本当は何があるのかに関心を寄せていた。

 

そんなイレズラは次第に砂漠の向こうの深淵の声を聞くようになり、結局、彼女はタリフ村の規律を破って封印されたカルティアンの書を手に入れようとし始めた。イレズラはカルティアンの書に書かれた莫大な力を習得した際に致命的な傷を負ったが、辛うじてタリフを抜け出すことに成功した。そうしてタリフから逃げたイレズラは、堕落した神を仕えるエルリック信徒を扇動して野蛮種族を制圧し、メディア北部の果てに塔を建てた。

 

▲一時はタリフの指導者だったがカルティアンの書を欲しがって姿を消したイレズラ

 

▲堕落した神に仕えるエルリック信徒の姿


エリアン暦274年

カーマスリビアとカルフェオンの軍事同盟、口外できないカーマスリビアの内部事情

 

 

一方、カルフェオンの新しい王ガイ・セリックは、カーマスリビアを「自然が守る天然の要塞」だとして感嘆した。高くそびえる木は自分の数倍はあるように見え、巨大な森は静かに息づいているようだった。ガイ・セリックはカーマスリビアが誇る弓兵隊を見て、カルフェオン軍に足りない弓術を補完する機会だと考えた。

 

ガイ・セリックがカーマスリビアに数度に渡り密使を派遣した結果、長い間、閉鎖していたカーマスリビアはついにカルフェオンとの軍事同盟を受け入れた。そうしてカルフェオン南部のサウニール要塞とトロル防御基地にカーマスリビアの弓兵隊が置かれ、ロングリーフの木一帯に聖人ネリードーミンをはじめとする司祭が派遣されることになった。

 

この同盟によって恩恵を受けるのは当然カルフェオンだと思われたが、実はカーマスリビアも公けにできない事情を抱えていた。この事情は美しい楽園を保とうと努めるカーマ・グラナの方針の下に隠されていたが、カーマスリビアもまた、神木カーマスリブが力を失ってから次第に内部の葛藤が深刻化し、頭を悩ませていたのだった。

 

▲ カルフェオンのサウニール要塞に派遣されたカーマスリビア弓兵隊

 

エリアン暦235年に暗黒の精霊事件が起きて以降、神木カーマスリブは力を失い、カーマスリビアは封鎖された。しかし問題は、今まで同じ血筋であったガネル族とベディル族の間に距離が生まれ、力の扱い方や思想が変わってしまったことだった。

 

特に首都グラナを守るアーチェル近衛隊に敵対するアヒブ勢力が登場したことで、葛藤はさらに深まっていった。アヒブ勢力はベディル種族のみで構成されていたが、彼らはカーマスリブを燃やして手に入れた巨大な力を忘れられず、超自然的な力を渇望し、カーマスリブの消滅がアヒブを創始したと主張した。彼らは森と精霊の歴史には冷淡で独善的であり、傲慢だった。

 

カーマスリビアはこのようなアヒブを異端と称し、ベディルで構成されたアヒブのみならず、ベディル種族全体を排除しようとした。この過程で中立を宣言して分裂したアヒブに属していない一部のベディルこそがダークナイトである。このようにカーマスリビアの組織は、アーチェル近衛隊、レンジャー、ダークナイト、アヒブに分かれ、彼らがまとまることは次第に難しくなっていった。

 

▲ グラナを守るアーチェルの軍事代表ハセル・アゼリエラー


エリアン暦275年

遅ればせながら西大陸に知られる黒結晶の価値と吹き荒れる血の雨

 

 

西大陸のケプランとハイデル、オルビアは国家を整備しながらメディアを仲介しバレンシアとの交易に乗り出した。これまでの遠征で足りなくなった財政を埋めるには、これといった方法がなかったのだ。しばらくしてカルフェオン王も、エリアン司祭の反発を押し切って商団の交易を承諾した。

 

遠征後、10年ぶりに再び訪れたメディアは、もはや以前のメディアではなかった。南部は野蛮族が占領していたが、北部は幾重もの城郭に囲まれており、その上から銃と大砲で武装した兵士たちが自信満々に商団を見下ろしていた。都市は活気に溢れ、煙突や初めて見るような製品がずらりと並んでいた。カルフェオン商団はメディアが変化した理由を探して奔走したが、メディアでその理由を見つけることはできなかった。

 

メディアが成長した理由は、黒い砂漠でようやく見つかった。黒い砂漠をバレンシア兵士らが固く守っていたからだ。もし黒結晶がただの燃料だったなら、ここまで警備を厳重にする必要はないはずだった。こうしてカルフェオン商団が盗むように持ち帰った黒結晶は、カルフェオンの錬金術師たちの手に渡ることになった。

 

しばらくすると、メディアの武器が強力だった理由が分かった。以前、魔法の石云々と言っていた司祭の扇動は間違っていなかったのだ。この事実は、他の西大陸の都市ケプラン、ハイデル、オルビアにも伝わっていった。

 

▲戦争の原因になった黒結晶(黒い砂漠モバイル)

 

西大陸の各国が本格的に黒結晶の探索に乗り出すと、ケプランが先に岩山で黒結晶を発見した。しかし残念ながら不純物が多く、ただ燃焼するレベルに過ぎなかった。しかし、メディアはこれも高く買い取った。鉄鉱を溶かすにはより高い熱を出し続ける黒結晶が黒炭より重宝されていたが、戦後バレンシアが黒結晶の価値を知り取引を禁じたためだった。

 

次はセレンディアの沼地で発見された。幼いナーガが手に握っていた黒い小石がまさに黒結晶だったのだ。この地で発見された黒結晶は純度が高く、これを確認するためメディアの商人らが直接訪れたほどだった。しかし、問題はカルフェオンだった。カルフェオンの王ガイ・セリックは、カルフェオン地域を隅々まで探したが黒結晶は見つからず、このままではこれまで西大陸の盟主を自負してきたカルフェオンが二流国家に成り下がることは明白だった。

 

結局ガイ・セリックは、セレンディアの純度の高い黒結晶を奪うことにした。しかし、問題は下層の民だった。黒い死、30年戦争、そして重なった自然災害と野蛮族の侵略で疲れきった人々を兵士に育てるには、多くの給料を与える必要があった。

 

カルフェオンの若き王ガイ・セリックは、「戦争費用を捻出するために、地に落ちたエリアン教の維新を再び立て直す機会だ」とし、司祭を説得した。また、商団にはメディア商団と競争できるように私兵を許可すると約束した。そうして再び黒結晶をめぐって戦争が起きた。今回は欲が理由だった。

 

▲ 黒結晶を採掘するケプラン採石場


エリアン暦276~278年

黒結晶から始まったカルフェオンとハイデルとの戦争

 

 

カルフェオンはセレンディアに向かう途中、ケプランを最初の餌食にした。ケプランは全く戦争の準備ができていない状態だったため、カルフェオンは戦わずして簡単にケプランを占領した。しかし、ハイデルはそうはいかなかった。

 

ハイデルは、先日の遠征隊でも名を馳せたクリフとアームストロングという2人の勇将を擁していた。カルフェオン軍はケプランを通ってセレンディアに向かう途中で監視塔に辿り着いたが、そこに駐屯しているクリフとアームストロングを破ることはできなかった。彼らは数回にわたって戦闘を繰り広げたが、監視塔を突破することは簡単ではなかった。

 

結局、カルフェオン軍とハイデル軍が対峙する中、カルフェオンの王ガイ・セリックは一つの知恵を絞り出した。彼は300人の精鋭兵士を選抜し、バレノスへと向かった。バレノスとセレンディア平原をつなぐ川に沿ってハイデル城に突撃しようとしたのだ。300人の精鋭兵は、夜の闇にまぎれて速い船に乗りハイデル城に奇襲攻撃を強行した。するとその奇襲攻撃は見事に成功し、ハイデル城は虚しくも炎に包まれた。そしてハイデル城が燃え上がると同時に、監視塔付近でカルフェオンの攻勢が始まった。

 

クリフは遅れて軍隊の一部を戻し、ハイデル城に帰還した。しかしすでに城は燃えており、カルフェオン王の姿は見当たらなかった。その後、伝令からガイ・セリックがクルシオ王を捕虜にしたことを聞かされたが、ハイデル王クルシオはその伝令を通じて自分は降伏していないため、自分の命は気にせず決戦に臨むようクリフに命じた。王命を受けたクリフの軍隊はケプランをめぐってカルフェオンと攻防戦を繰り広げ、アームストロングはデミ川渓谷を登りカルフェオン平原に陣を取った。

 

▲ かつて2人の勇将がカルフェオンを防ぎ止めた監視塔の跡

 

▲ クリフはかつてカルフェオン軍を防御するために監視塔の橋を断ち切った。

 

エリアン暦277年、ガイ・セリックはケプランの切り札である重甲歩兵を立て、ハイデルの二人の勇将に立ち向かった。その間にも多くの血が流れ、このままでは全面戦争は避けられないと思われた。この状況下でたとえカルフェオンが勝利を収めたとしても、2人の勇将の奮闘には大きな犠牲が伴うに違いなかった。そこでガイ・セリックは考えを変えた。そもそもの目的は黒結晶を手に入れることだ。そのため、ハイデル王に降伏文書の代わりに条約書を差し出すことにしたのだ。

 

予告された多くの死を防げる状況に、ハイデル王クルシオ・ドモンガットは躊躇した。降伏ではなく条約なら、いつか機会が再び訪れるはずだ。また、ガイ・セリックは伝令を送り、クリフに3つの条件を飲めば王を解放することを約束した。まず第一に今後監視塔付近はもちろん大規模な兵営を置かないこと、第二に交易と外交は全てカルフェオンを通すこと、第三にセレンディアの黒結晶をカルフェオンに渡すことだった。

 

条約はようやく成立し、カルフェオンの派遣官は条約が履行されることを1年以上かけて確認した。こうしてエリアン暦278年、クルシオ王は長い捕虜生活の末、ハイデルに帰還した。ハイデルの人々はクルシオを受け入れ、監視塔付近の地域を中立地帯とした。また、住居を西部警備キャンプに移さなければならなかったクリフとアームストロングも王の決定を尊重した。

 

卑怯者と陰口を叩く者も多かったが、ドモンガットは気にしなかった。ただ、カルフェオンの抽出場がセレンディアの湿地に入ることが気がかりだった。実際にドモンガット王が病気を患い始めたのもその頃だ。

 

その間、バレノスのオルビアは戦わずしてカルフェオンに降伏してカルフェオンの直轄地となり、今やケプランの採石場とセレンディアの抽出場から採掘された黒結晶はカルフェオンに入り始めていた。しかし、カルフェオン王ガイ・セリックの欲望は止まらず、父王ダハード・セリックが埋められた黒い砂漠にまで手を広げようとしていた。黒い砂漠さえ手に入れば、全大陸を制覇できるだろうと自信を示した。しかし、もはや連合はなく、ハイデルの助力なしには成長したメディアを越えることはできないように見えた。

 

そのため、ガイ・セリックは大規模な傭兵を選出することにした。問題はまた費用だったが、ようやく手に入り始めた黒結晶が積まれていくのをじっと待っていられるほど彼には忍耐力がなかった。これによりガイ・セリックは致命的なミスを犯すことになった。戦争費用を調達するため民に前例のない税金を課し、エリアン教団にも税金を課した。また、商団の私兵は王に帰属させたのだ。

 

▲ カルフェオンの手に渡ったセレンディア抽出場

 

▲ ガイ・セリックの精鋭兵によるハイデル城奇襲予想経路


エリアン暦276年

カーマスリビアの分裂とサルンクマの領土に逃げたアヒブ

 

 

一方、最年少で女王の座に就いたブロリナ・オーネットは、カーマスリビアを掌握するため必死になっていた。ブロリナは生まれながらにガネルの力を持ち、自然交感で非常に洗練された実力を見せてきた。加えて優れた知恵と頭のキレを兼ね備えていたため、彼女が女王になるのは当然のことであったが、戦争となるとまた別の話だった。

 

カーマスリビアで異端と目を付けられたアヒブの傲慢は、日に日に激しくなっていた。リングウッドの森をはじめとするカブア山一帯でも怪しい動きを見せているという噂まで聞こえるほどだった。すると、アーチェル近衛隊が森の至る所に「ベディル出入り不可領域」という標識を立てて厳格に統制した。ところが「ベディル」と明示したことで問題が起きた。これはアヒブの反発はもちろん、アヒブに属していないベディル族であるダークナイトの怒りを買うことになった。

 

しかし、それでもアーチェルは退かなかった。むしろガネルの立場を表明し、さらにベディルを責め立てた。なぜなら、圧倒的な戦力を誇るアーチェル近衛隊は戦争を恐れていなかった。ガネルの数に比べてその半数ほどに過ぎないベディルが敵対できないことを分かっていたからだ。この事件でダークナイトはカーマスリビアを去り、ダークナイトはカーマスリビアの歴史から姿を消すことになったのである。

 

▲ カーマスリビアの女王、ブロリナ・オーネット

 

ダークナイトが姿を消すと、アーチェルはアヒブ討伐に乗り出すなど、さらに大胆になっていった。アーチェルの攻撃にアヒブは為す術もなく、カーマスリビア南東部へ敗走した。そこは凶悪なサルンクマ族の領域であった。アヒブが渡ったその厳しい道をアーチェルは通過することができなかった。サルンクマは凶暴で言葉が通じなかった。威嚇的で巨大な影、暗闇の中でも輝く青い瞳。アヒブがそんなサルンクマを引き入れたのは、決して容易ではなかったはずだ。

 

鋭い棘が湧きあがる乾いた大地の境界からアーチェルは引き返さざるを得なかった。そうしてカーマスリビアの森に戻ってきたアーチェルは、これまでの争いで歪んだ大自然に目を向けた。神木カーマスリブの命を覚醒させる方法も見つけなければならなかった。もちろん未だにカーマスリビアに残っているベディルもいたが、彼らにはガネルの力が混ざっていたり、自らベディルであることを否定して力を封印した者だった。アーチェルも、このような者たちまで突き放しはしなかった。

 

ところが、このようなアヒブの移動により、とんでもない場所に火の粉が飛ぶことになってしまった。ある夜、ドリガンの国境近くにある小さな警戒所が炎に包まれた。カーマスリビアからやってきたアヒブ族がサルンクマの領土に向かおうとドリガン国境を経由したのだ。こうして起きたアヒブとドリガン自警団の衝突は、アヒブを追撃してきたカーマスリビア軍によってひとまず終息したが、少ない自警団に頼っていたドリガンは、大きな痛手を負うことになった。

 

この事件をきっかけに、ドリガンの自警団を率いた人物ドルゲフはシェレカンの誇りを守るために軍隊が必要だと主張してドベンクルンに軍組織を求めたが、元老会は自警団をドベンクルンの正式警備隊に昇格させようという意見を出しただけで、特別な措置は行なわなかった。

 

▲ アヒブが追い出された地域、オーディリタ


エリアン暦277年

メディア王家の没落

 

 

イレズラがタリフ村から姿を消して4年後、メディア地域にイレズラの高い塔が建てられたとき、爆音と共に黒煙が全域を覆った。イレズラは不完全なカルティアンの書の一部と、クザカの形状をした闇の精霊を扱っていたが、イレズラによるその力でメディア城は一瞬のうちに燃えてしまったのだ。

 

そしてメディアは三日間、漆黒のような暗い夜を送ることになったが、この事件こそが通称「三日間の闇」である。太陽も月もなく、ただ暗闇の中で焚き火に頼るしかなかった人々は、恐怖に震えながら三日間を過ごした。これは大都市アルティノも例外ではなかった。ある者は攻撃的になり、またある者は奇声を上げてアルティノの外へと飛び出していった。飛び出した彼らの目には、ただ明るく燃え上がるメディア城だけが映っていた。

 

メディアの薄っぺらい王政が崩壊したことは、それほど驚くべきことではなかった。メディアの王バリーズ2世が死去したことを悲しむ者はいたが、メディアの王子が災いから生き延びたことを喜ぶ者はいなかった。二日後、イレズラは痕跡も残さず消え去り、彼女の正体は様々な話に膨らみ噂だけが大きくなった。

 

▲ メディア王家の没落後、城はもぬけの殻となっている。


エリアン暦280~281年

野蛮族の本格的なアルティノ侵犯、カルフェオン議会誕生

 

三日間の闇から3年が経ったある日、イレズラが再び姿を現したという知らせが飛び込んできた。イレズラの名を掲げてアルティノに忍び込んだのは、廃鉄鉱山の近くからやってきた野蛮族だった。人間の言葉を駆使する黒いマントを纏った野蛮族の群れがアルティノを占領すると言い、列を描いた。これらの野蛮族の足取りと共に、メディア北西側の森の中に住んでいた凶悪な集団セゼークハンターまでアルティノに集まった。メディア商人会は、これらの群れをすぐに追い出すことができなかったため、不便な共存を続けることになった。

 

一方、カルフェオンの下層民はガイ・セリックの欲望による過剰な課税に苦しんでいた。しかし、王の夢も時代には逆らえなかった。黒い死により遥か昔に封建制が没落したことで下層民の認識が変わり、自らの価値を証明し、国家の富は交易が率いる時代となっていた。

 

このような時代的状況下で、貴族、司祭、下層民は皆、身分に関係なくカルフェオン王の独断を放っておかなかった。最終的にカルフェオン王ガイ・セリックは、一人の侍従が渡した酒により命を落としてしまう。すると西大陸がざわめき始めた。まだ30歳と若く強靭だった彼が、なぜ突然死んでしまったのだろうか?奇病のため急死したという発表があったが、実際には毒殺されたのだという噂が出回った。

 

▲ 没落した貴族、アナベラ・ベルッチ。カルフェオンで封建制と身分は次第に崩れていった。

 

ハイデル王クルシオは、予想より早く機会が来たと考えた。まもなく起こる権力の暗闘にカルフェオンは無力化するはずだった。クルシオは西部キャンプのクリフを呼び寄せ、目の上のこぶだった条約の廃棄について相談した。しかしクリフは、焦って動けばカルフェオンを再結集させてしまう可能性があるとし、ひとまず様子を見ることを提案した。

 

ところが、二人の間に侍従長であるジョルダインが割って入った。ジョルダインは25歳の若さで侍従長になった人物で、手当たり次第に村と城を殺戮していたカルフェオン兵士によって家族を失い、復讐のため軍に入隊したという過去があった。そんな中、クリフが良識もあり仕事ができるジョルダインを戦争後に体が不自由になったクルシオのため、侍従長に推薦したのだった。

 

実際のジョルダインの職責は、侍従長ではなく宰相と言うべきだった。しかし、抽出場ができてからというもの、クルシオ王自らが王の責務を果たしていなかったとして自ら位を下げて城主と呼ばせたことで、職責に変化が生まれた。これは将軍クリフが隊長と呼ばれる理由でもある。

 

▲ ハイデルの侍従長、ジョルダイン

 

侍従長ジョルダインは、クルシオとクリフに「ガイ・セリックの死は王室の権力争いではなく教団に同調する商人勢力によるものであり、ハイデルがどう出ようと現在のカルフェオンには結集する理由がない」と話した。クルシオ王もジョルダインの主張に同調したが、ひとまずクリフの言う通り状況を見守ることにした。

 

ところが、カルフェオンの混乱は意外にも急速に終わりを迎えることになった。カルフェオンは各階級を代表する議員を選出して議会を作ったのだ。議会が成立したカルフェオンは以前よりもさらに強力になった。しかし、この様子を見たジョルダインはクルシオに「カルフェオンは5年以内に力を失うことになるだろう」と言った。

 

商人たちがカルフェオンを左右することは、狼に羊の番をさせるも同然のことだった。これを制止しようとするカルフェオン教団は勢力拡大に没頭し、財政を疲弊させるに違いなかった。ジョルダインはその間にハイデルが力を付けるため、税金をもっと取り立てて軍備を拡充させる必要があるとクルシオを説得した。放置されていたハイデル城の再建を考えていたクルシオ王は、ジョルダインの助言を受け入れることにした。

 

▲ カルフェオンにできた議会


エリアン暦282年

バレンシア王シャハザード・ネセルの即位と動く古代の力

 

 

一方、バレンシアは持病を患っていたトルメの死去後、彼の長男であるシャハザード・ネセルが王位に就いた。トルメの遺言通り、彼と異国の女性の間に生まれた第2王子バルハンが軍部を、第3王子マンメハンが法典を、そして末娘のサヤ姫がアールの経典を管理することになった。バレンシアの国民は安堵し、王国を誇らしく思った。

 

しかし、平和は長く続かなかった。第2王子バルハンが彼の母親からシャハザード王は黄金鍵を持っていないという事実を聞かされたからである。千年の歴史の中で受け継がれてきた黄金鍵は、バレンシアの初代国王が誕生した場所へ向かう手段であった。それは代々バレンシア国王だけが持つことのできる、即ちそれがなければ王として認められない、王が持つべきものだったのだ。

 

滅びたと考えられていたアクマンの群れが最近になって再び姿を現したのも、砂漠を彷徨う古代ジャイアントの動きが尋常じゃないのも、これが原因かもしれないと思われた。バレンシア建国伝説にまつわる秘密を抱いた黄金鍵は、現在バレンシア王国の亀裂を引き起こす原因になろうとしていた。

▲ バレンシア軍部を統治する第二王子バルハン・ネセル


エリアン暦283年

ハイデル農民の反乱と意志の塔事件

 

 

ジョルダインの助言によりハイデルの税金が引き上げられてから数年後、ついに農民たちが立ち上がった。その年は凶作だったにもかかわらず、税金が全く減らなかったことが理由だった。さらにこれまでおとなしかった野蛮族も凶暴になり、なんとか収穫できた作物もわずかであった。

 

農民たちはカルフェオンの変化(議会成立)を見守っており、農民代表のアル・ルンディをハイデル城に送った。しかし、城主クルシオ・ドモンガットは、警告するかのようにアル・ルンディを閉じ込めた。彼は拷問を受け、数日後、中立地に捨てられた。すると農民たちはこの事実に怒り、最終的に反乱を起こした。しかし、戦争の準備をする兵士たちと農民では戦いにならず、農民蜂起とはいうものの、実際には兵士の姿が見えると逃げ惑うことで精一杯だった。

 

アル・ルンディを含む激烈なデモ隊は、指名手配されたせいで日常に戻ることができなくなってしまった。彼らの意志とは関係なくいつの間にか反乱の首謀者にされ、廃城跡に身を隠さなければならなくなったのだ。その後、生活に苦しむ者たちが集まるようになったが、これはジョルダインが税金をさらに取り立てる口実となってしまった。

 

▲ 農民軍アル・ルンディと残党が隠れる廃城跡

 

ところが、エリアン暦283年には農民蜂起の他にも大規模な事件が起こった。古代文明を築いた黒い石の伝説を確認したがる陰険な司祭たちが、黒い石の痕跡がある意志の塔を見つけたのだ。彼らはすぐに野蛮族を駆り立て祭壇を制圧し、罪のない野蛮な血を生け贄として捧げた。

 

彼らが探し出した古代の模様が刻まれた黒い石の欠片は、互いに絡み合っているかのように黒い球を成していったが、一つだけ欠片が足りないようだった。結局、司祭たちと力を合わせた科学者の装置により、不完全な黒い球は最終的に亀裂を起こして爆発してしまった。ところが、その日はよりによってバレンシアを行き来する船舶がゴマ渡し場に停泊していた日だった。

 

貿易の中間都市であるゴマ渡し場にはどこか懐かしさが漂っており、近くの旅館には貿易船を率いる船員や隊長を護衛する傭兵まで、様々な人が集まっていた。ところが、その陰険な司祭たちが必死になって探していた最後の黒い石の欠片、太古の石はゴマ渡し場を通っていった。意志の塔から湧き上がる黒い柱は共鳴するかのように太古の石に向かって飛んでいき黒い石がたちまち燃え上がると、ゴマ渡し場にいた人たちが消えるという残酷な光景が広がった。

 

この事件は「暗い夜を貫き空から光が落ちたあと、野蛮族の中に凶暴な奴らが生まれ、怪物たちが暴れ始めた」と伝えられている。さらにその日には石も動き出したという。以後、人々はこれを意志の塔事件と呼ぶが、過去に古代人たちの意志の塔を建てた直後にも似たようなことがあったと伝えられている。

 

▲ 意志の塔


エリアン暦284年

強力になったアヒブとカーマスリビアの危機

 

 

農民蜂起や意志の塔事件など大きな混乱があった頃、妖精の地カーマスリビアは対照的に本格的な大自然の回復期に突入していた。彼らは眠っているカーマスリブを覚醒させるために司祭たちを育て上げ、特別な修練を経て成人になったカーマスリブの司祭たちは外の世界へ出て行った。彼らは各地で精霊を見つけ、その力を借りて力を付けた。そうして少しずつではあるが、神木カーマスリブの力は次第に回復していった。

 

しかし、アヒブが乾いた大地に逃げてから8年後の284年、闇が漂うオーディリタにアヒブの要塞が建てられると、アヒブたちがサルンクマと結託して新しい武器を作ったという噂が広まった。枯れていた棘の蔓には生気が宿り、痩せた大地はアヒブが灯す明かりで揺らめいていた。カーマスリビア草原の東部に駐屯するレモリア監視隊は、このようなアヒブの動きを監視して警戒を強化した。

 

そんなある日、ドジャックトンネルを監視していたレモリア隊員たちが乾いた大地を越えてやってきたアヒブと衝突を起こした。ラモ渓谷でガネルとアヒブの最初の戦闘が勃発し、レモリア援軍がここに加勢した。戦いは辛うじてガネルが勝利したが、結果は悲惨だった。

 

続く戦いで草原を守っていたレモリア軍はその半分を失い、カーマスリブ司祭たちがドジャックトンネルを封鎖するとようやくアヒブは後退した。彼らはもうかつてのアヒブではなかった。カーマスリビアは、まるでかつての暗黒の精霊に再び会ったかのように恐怖に包まれた。

 

アヒブはなぜここまで力を付けることができたのだろうか?アヒブの魔の手が伸びれば伸びるほど、アーチェルは焦りを募らせた。カーマスリブの復元が目前だというのに、このままアヒブの勢いが止まらなければ平和は約束されないと思われたからだ。

 

▲ アヒブ紛争地域を守っているガネルの様子

 

▲ カーマスリビアを脅かすオーディリタ地域のアヒブサルンクマ槍術士


エリアン暦285年~現在

ベリアに集まった異邦人、本格的に明らかになるカーマスリビアとドリガン地域の存在

 

 

エリアン暦285年、バレノス地域のベリア村に異邦人が増えたという噂が広まった。また、翌286年にはカーマスリビアの危機を感じたブロリナ女王が、ついにカーマスリビアに通じるすべての道と関所を開放し、カルフェオンとドリガンに伝令を送った。

 

ドリガン地域も同様に緊迫していた。あるハンターが夜、狩りに出たが、丘の上に広がるドラゴンの翼を目撃したと言うのだ。ドラゴンが現れたというハンターの発言に、村長ドルゲフは震える両手を握りしめた。ドラゴンを倒したシェレカンの末裔たちも、実際にドラゴンを見るのは初めてだった。

 

何よりも彼らの小さな軍隊ではドラゴンを相手にすることができないことは分かりきっていたため、恐怖が先立った。会議を繰り返した末、村長ドルゲフは多くの反対を押し切って、優れた傭兵が必要であるという決定を下した。各国に「ハンター、傭兵、引退した兵士を問わず、戦うことができる者なら誰でも歓迎します」と公示し、ドリガンの存在を知らせた。

 

▲ 漁村ベリアに異邦人が多くなった。

 


 

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