木のさわやかさすら感じるディネは、森の愛を一身に受けながら、同時に森を破壊する炎を持つドゥームのそばに唯一いることができる存在でした。

ある日、ディネは森に死の種が現れたと小さな蛇に言われ、急いで走りました。しかし、たどり着いた森は霧がかっており、静かで平和でした。

ふと小さな蛇が消えたことに気づいたディネは急いで母親の姿に戻りましたが、ドゥームがすでに去った後でした。
家族を守れなかったという絶望感に包まれたディネは森の守護を残しながら、ドゥームの悲しい痕跡を追って乾いた砂漠に向かって走り始めます。

 

戦場を燃やす炎の主ドゥームは、自由に青空を駆け回るアドゥアナートと森に愛されるディネとは違い、炎のせいで自由になれず、だんだんと孤独になりました。

そんなある日、闇の蛇イベドルがドゥームを訪ねてきました。
『彼と一緒なら、燃え上がる炎を誇って世界を自由に走れるだろう』
彼は乾いた砂漠の果ての地獄門の向こうで誰かがドゥームを待っている、とささやきました。

ドゥームはイベドルの言葉に誘われて母親のもとを去りました。
人々は、最後にはドゥームが闇のささやきを乗り越え、いつか彼の炎まで抱きしめられる縁に出会い、思う存分大地を疾走するだろうと信じています。