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GMノート 2022.05.13 18:00 (UTC+9) 【ガイド】黒い砂漠ストーリー外伝 #6 - この世に血に染まらぬ王座はない
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黒い砂漠ストーリーガイド - 一気に読む総まとめ 

※ 本ストーリーガイドは海外のサーバーで黒い砂漠を楽しんでいる冒険者様、「ユ・ジェウ」さんの経験を基にご本人がご自身で作成した投稿であり、原作者のご同意を得たうえで原本を翻訳した内容です。
原文:https://www.inven.co.kr/webzine/news/?news=251550&site=black

ユ・ジェウ記者(Giirin@inven.co.kr)

黒い砂漠の21番目のクラス、ノヴァがリリースされてからかなりの時間が経ちました。ノヴァは砂漠で死を迎えたカルフェオンの王、ダハード・セリックの「失われた王女」というコンセプトでリリースされましたが、「Sの招待状」という覚醒ストーリーが明らかになり、このイメージが覆されました。

他の黒い砂漠ストーリーと比較しても刺激的で驚くべき秘密が盛り込まれたノヴァの覚醒ストーリーは、オーディリタのアヒブとも関連し、没入感が一層高まっています。特に覚醒ストーリーの最後で獲得するアイテム「王の鍵」のツールチップにおいて、まだノヴァの話には続きがあることが分かり、多くのユーザーを興奮させました。

それでは、ノヴァはどのようにして「棘の女帝」という現在の地位を手に入れたのでしょうか?カルフェオンの王座を取り戻すという願いは叶うのでしょうか?最後に、カルフェオンの王女である彼女とアヒブは、一体どんな関係にあるのでしょうか。今からじっくり紐解いていきましょう。 

 

 

※ 本ストーリー記事はシリーズで連載されます。

※ メインクエスト、NPCの会話、知識などを参照して作成しました。

※ 分岐とは、ゲーム内でユーザーが何を選択するかによってエピソードが変わる部分を指します。

※ 若干の脚色が含まれていますが、ゲーム内の設定およびコンセプトには支障ありません。

 

 

■ノヴァ覚醒 - Sの招待状

タリフ村

謎のアヒブと出会う


「お、これ見ろ!誰かがオレたちに招待状を送ってきたぞ!Sの招待状?何だ、これは?ちょっと読んでみようか?」

興奮した目つきで闇の精霊が渡してきた手紙の内容はこうだ。

Sの招待状
卑怯な手に倒れ散った星が
澄み渡ったカルフェオンの空へ
再び昇るその場所に
そなたを招かんとす。

互いに手を携えて
向き合うことはできなくとも
さあ、時空を超えて迎えよう。
冷たく暗い星が切り開く、新しい時代を。

ノヴァはこのSの招待状に書かれた言葉が何を意味するのか分からなかった。さらにその手紙の裏面には、全く異なる字体でこんなことが書かれていた。「現在カルフェオンのカリス議会はこの招待状を送ったSの正体がノヴァではないかと疑っているが、そうではないと分かっている。タリフ村まで訪ねてくるように。」と。

Sの招待状の裏面
カルフェオン転覆を仄めかす、Sの招待状。
カルフェオンの支配階級を揺るがした招待状だ。
あなたのことをSだと思っている者がいたが、このことを知っているか?
まあ、カリス議会に行ってきたのなら分かるはずだ。
一度も行ったことがないのなら、獄中生活をすることになる可能性もあるが、
悔しくないか?大したことのない招待状だぞ…。
私は知っている。あなたがSの招待状を送っていないということを。
私が誰かって?知りたければ、タリフ村へ来るがいい。

ノヴァは馬を走らせタリフ村へと向かった。今カリス議会に行けば、どんな罪を問われることになるか分からなかった。こうしてタリフ村に到着したノヴァは、いとも簡単に自分をタリフ村に呼び出した張本人を見つけることができた。遠い異国の地、オーディリタにいるはずのアヒブ族が、ソーサレスの故郷であるタリフ村にいること自体が普通のことではなかったからだ。


▲ タリフ村でノヴァは自身に手紙を送ったアヒブに会った。

 

彼女は自身をオーディリタのエキドナ修道院に所属する者だと名乗り、これまでずっとノヴァを探していたのだと話した。彼女の話によると、ノヴァは自身が仕える女王が未完成のまま死んだものを完成させ育て上げた戦士であるため、もう一度オーディリタに戻ってこいということだった。

しかし、ノヴァはそんなアヒブの言葉を信じることができなかった。彼女がこれまで記憶を失い、闇の精霊に会ってあちこちを彷徨っていたことは事実だが、初めて会ったアヒブがいう女王や戦士といった言葉をそのまま鵜呑みにする理由もなかった。

すると、アヒブの口角がそっと上がった。彼女は確かにそうだという表情を浮かべながら、そろそろ真実に向き合うときだと言った。彼女はいずれ迫り来る影「ハドゥム」に対抗する最高の戦士を探すだけだと言い、ノヴァを陥れた張本人であるSのもとへ送ると話した。アヒブには、ノヴァをSのもとへ送ることでノヴァの力を試そうという目的もあった。


▲ どんな真実に向き合えというのだろうか。


ノヴァは、このアヒブがなぜSの正体を知っているのか疑わしく思ったが、すでにSの招待状はカルフェオン中に広まっていたため、何とかして真実を解き明かさねばならなかった。そのため、まずはアヒブから出された最初の課題であるメイン族の巣窟にいるメイン族を討伐する任務を引き受けることにした。もしノヴァがこの簡単な課題もクリアできなければ、Sには対抗できないというのがアヒブの説明だった。

これまでカルフェオンからバレンシアまで全大陸を横断し、闇の精霊と冒険をしてきたノヴァにとって、メイン族の相手になどわけもなかった。こうしてノヴァはいとも簡単にメイン族を討伐すると、アヒブとの約束場所である兵士の墓へと向かった。

アヒブが待っていた場所には巨大な一つの石碑があった。その石碑は見た目も他より派手だったが、何より特異なのは石碑の周りに寒気が漂っていることだった。アヒブはこの石碑こそがSの痕跡であり、ノヴァが使う寒気の力と非常に似ていると話した。そして、もしノヴァがSに匹敵する力を持っていれば、この寒気を打ち消すことができるはずだと言った。


▲ Sの痕跡だという石碑


ノヴァは寒気が漂う石碑に手を伸ばした。アヒブの言う通り、その力はノヴァに非常に馴染みのあるのもだった。ノヴァの手が触れると、その寒気はまるで自身の主人に出会ったかのように踊りながらノヴァの体に巻きついた。そしてその寒気は、ノヴァに完全に吸収されていった。

アヒブは満面の笑みを浮かべた。寒気が吸収されたということは、ノヴァの力がSに匹敵するほど強力だという意味だった。しかし、彼女は最近この「寒気の標識」がメディアのあちこちに広がっているという事実が非常に心配だと話した。これはSが自身の領域を広げている証拠であり、本来は魔女イレズラの土地であったメディアを占領することで、彼女の残存兵力を全て吸収しようという企みがあるからだった。

アヒブはSの寒気を吸収したノヴァに兵の墓の骸骨を倒すよう話した。自身の軍隊がどんどん消えていることをSが感じたら、間違いなく怒って姿を現すに違いないからだ。その後、兵の墓の骸骨を一掃したノヴァを見て、アヒブは意味深な笑みを浮かべて口を開いた。



▲ 寒気の力でSの兵士を一掃するノヴァ


「Sが誰なのか教える頃合いになったな。彼女の本当の名はフランチェスカ・セリック。カルフェオン王国の、隠されていた最後の王女だ。ああ…あなたが記憶を失う前の、本当の名前が、その名前だと言った者がいるって?まあ…その者の目には、そう見えたのかもしれないな。だが、あなたはまだフランチェスカ・セリックではないんだ。」

一瞬ノヴァは頭を殴られたかのように混乱した。彼女は一時、カルフェオン王国の記憶、そして砂嵐のように押し寄せてくる怒りと復讐の感情を感じたことがあった。なんとなく自分自身をカルフェオンの記憶を失った王女だと思っていたが、今このアヒブから聞いた言葉は、全く違うものだった。

「あなたは、フランチェスカ・セリックのオーネルなんだ。」

だがアヒブはここまで説明しただけで、いざその「オーネル」というのが何なのかは話してくれなかった。代わりに彼女はアヒブがオーディリタに位置する前からあった「古代オルゼカ王国」について言及し、その王国の知識が込められた苦悩が眠る墓で働いていたドワーフ奴隷の数人が知識の一部を盗んで古代の隙間に逃げたという事実を伝えた。

アヒブは、まさにそのドワーフ奴隷たちがノヴァの正体を明らかにする知識を持っているだろうと話した。そして彼女はノヴァに「慈悲の炎」を渡した。慈悲の炎はそのドワーフ奴隷たちの足枷を解く唯一の道具だったが、その代わりに失われた知識を探せということだった。



▲ ノヴァはフランチェスカ・セリックのオーネルだという。オーネルとは、一体何なのだろうか?

古代の隙間

ホムンクルスとエキドナの盾

古代の隙間は少し前、ノヴァがドワーフ族長のアイン・グレードに会ったときに立ち寄った場所だった。そのときは何の気配も気づかなかったが、そこにこんな秘密を持ったドワーフがいたとは。彼女は急いで馬に跨ると古代の隙間へと急いだ。

ノヴァは古代の隙間で周りをうろついたり会話をするドワーフたちを細かく観察した。だが、どこにも足枷をはめているドワーフは見当たらず諦めかけたときだった。ついに、探していたドワーフを見つけたのだ!遺跡洞窟の奥深く、族長アイン・グレードの部屋に入る通路で、赤い模様が刻まれた足枷をつけた三人のドワーフが話し込んでいるではないか。

ノヴァはいきなりドワーフの前に慈悲の炎を差し出した。ノヴァの取引は簡単だった。慈悲の炎で鎖を解く代わりに、盗んだ知識を見せてほしいということだ。ドワーフたちは突然入ってきた人間の女性の取引に驚きを隠せなかったが、足枷がある限り永遠にアヒブたちに追われることになるため、素直にノヴァの取引を受け入れた。

ドワーフたちの話によると、その知識は古代王国オルゼカの中心の一つであるエキドナ修道院に関する知識で、大祭司エキドナが作った人造人間「ホムンクルス」に関する内容が含まれており、現在オーディリタの主であるアヒブの女王もその修道院を発見し、ハドゥムに対抗する戦士を作るという名目で同じ行為を行っているという。

しかしそれは神の領域を侵す行為であり、悲劇をもたらすことは明らかだった。すでにその過程で犠牲になった者たちと、この行為により生まれた子どもたちの苦痛も考えなければならない。そこでドワーフたちはエダナの力なら方法がありそうだと考え、ここ古代の隙間を訪れたのだった。


▲ 慈悲の炎でドワーフ奴隷が盗んだ知識を見ることに成功した。
オルゼカの記録 1章:エキドナ修道院
いばらの神獣に仕える、オルゼカ王国のクトゥラン教の修道院。不滅の大祭司長エキドナが、オルゼカ歴 301年に建設した。エキドナは光の神から見捨てられた、哀れな子どもたちを引き取り、この修道院で面倒を見た。子どもたちは修道院でエキドナの教育により、祈ったり、働いたりしながら、一日に七回ずつ祭祀を行った。国で戦争が起こったときには、普段から訓練していた、盾や鉄槌を持ち、先頭に立って戦ったこともあった。子どもたちにはたった一つの希望があった。それは、エキドナから善良な子どもとして認められ、オーディリタへと行き、両親に会うということだ。エキドナはクトゥランの根が、約束の地、オーディリタから旅立つための唯一の入り口だといった。エキドナは毎年、もっとも明るい月が浮かぶ日に、その年にもっとも善良だった子どもたちを連れて、クトゥランの根へと入っていった。そして、もっとも暗い月が浮んだ日、エキドナは子どもたちを再び連れ戻した。その子どもたちは、もう泣くことはなかった。

オルゼカの記録 2章:エキドナの子どもたち
光の神に見捨てられた、哀れな子どもたちは、実は大祭司長エキドナの創造物であるホムンクルスだった。クザカの現身とオルゼカの征服戦争はエキドナにとってはもっとも重要な任務であり、彼女は数多くの研究や実験の末に、オルゼカの神木であるクトゥランの力を利用して、人造人間を作り出した。クトゥランが呑み込んだ、死んだ戦士たちの肉体にエキドナが自身の種を重ね合わせ、根を胎の代わりにし、生命を生みだした。そうやって生まれた子どもたちは、普通の人間と同じで、それぞれ違う外見や能力を持っていた。エキドナは、修道院を建てて子どもたちを育て上げた。この中でも才能を開花させた子どもは、再びクトゥランの根へと連れていき、クトゥランの根を燃やした灰を鼻へと流し込んで、修道院での記憶や感情を消し、エキドナの言葉にだけ従い、王国のために尽くす戦士として生まれ変わらせた。彼らは、腕にクトゥランの棘を纏い、そこから現れる武器を自由自在に扱いながら、敵を制圧した。彼らが戦場で流した血は、クトゥランの滋養となり、のちに悪神クザカを生み出すことになる……才能を開花させることができなかった子どもたちは、成人したあとオルゼカの民となったが、身ごもることはできなかった。そしてエキドナの修道院は、クザカの暴走により、オルゼカが滅亡した日に、王国と共に土の中へと消え去った。

オルゼカの記録 3章:エキドナの盾
完璧な潜在力を備えた、たった一つのホムンクルスのために、エキドナが製作した盾で、歪んだ女神の力が込められている。しかし、この盾と接触した瞬間、創造者の統制から解放され、歪んだ女神の意志によって、行動するようになり、能力によって、その力を利用できる度合いが変わるようになる。エキドナの記録によると、この盾は自分の意志によって、独りでに存在することはなく、絶え間なく契約者を探しているという。このような危険性があることから、エキドナは地下室に、盾を封印し、長い間入り口に鍵をかけていた。
「それで…盾は地下室に永遠に封印されたのですか?」

オルゼカの記録を注意深く調べていたノヴァが最後のページを閉じて尋ねた。すると、ドワーフ全員が驚きの表情を浮かべた。オルゼカの言語は、その血が流れる末裔だけが読めるからだ。ドワーフたちは戸惑いを隠しながら、オーディリタの主がアヒブに変わったあと、盾が再び目覚めたという事実を語ってくれた。アヒブたちはオルゼカの神木だった死んだクトゥランにカーマスリブの枝を差して「トゥラシル」として再誕生させたが、そのオーラが地下室に盾に触れて自我が目覚めたというのだ。

事実、オーディリタの女王は死んだ冬を連想させる寒気が首都を襲ったとき、これを追いかけてその地下室を発見したことがあった。結局エキドナの盾を見つけることはできなかったが、その理由はおそらくその盾がエキドナのホムンクルスにだけ反応するためだというのが、そのドワーフたちの説明だった。

しかし、この事件は単に盾がないからといって終わる問題ではなかった。女王も知らないホムンクルスが隠れているという意味だったからだ。女王は以前、山崩れで現れたエキドナ修道院を初めて発見したとき、数多くの未完成のホムンクルスがクトゥランの根に絡んでいたことと関連があると考え、ドワーフの奴隷たちにオルゼカの記録を解釈させた。そうして下された結論は、そのクトゥランの根に絡んでいた未完成のホムンクルスたちが、初めて盾に反応したホムンクルスの複製人間というものだった。

実際にオーディリタはオルゼカ滅亡後、アヒブたちが定着するまで数多くの勢力が通っていった場所だった。そのうち誰かが死んでいく神木クトゥランに盾と契約できるほどの完璧なホムンクルスを作り、クトゥランは意志を持ってこれを量産するために死ぬまで複製を試みたようだった。オルゼカの言語で複製人間を意味する言葉こそが「オーネル」であり、現在アヒブも彼らをオーネルと呼んでいた。

アヒブたちは「いったい誰がエキドナの種を利用したのか?」という謎を明かそうとしたが、帰ってきたのはしわくちゃになったデロティアの花に刺さった鷲の羽だけだった。そして今は兵の墓と同じように、エルリック寺院でもその寒気の痕跡が感じられていた。


▲ ホムンクルスの複製人間、それがまさにオーネルだった。

エルリック寺院

明らかになるノヴァの正体


「それはどういう…。」

ノヴァは自身の耳を疑った。人造人間ホムンクルスの複製人間オーネル。確かにタリフ村で会ったアヒブは、ノヴァの正体がフランチェスカ・セリックの「オーネル」だと言った。それでは、ノヴァ自身はクトゥランの数多くの複製人間のうちの一人に過ぎないということなのか?

もう後戻りすることはなかった。寒気の痕跡が現れた最後の場所、エルリック寺院へ行って決着をつけなければならなかった。アイデンティティの混乱とやり場のない怒りに包まれたノヴァは、エルリック寺院を守るSの兵たちを一掃すると、寺院の一番高い位置まで上った。そこにはやはり、寒気が漂う異教徒の標識があった。そして、その隣の空き地には見慣れた姿の死体が散らばっていた。

一、二、三……幾多にも重なる死体。驚くべきことにそれは「ノヴァ自身」だった。いや、ノヴァのような姿をした、数多くの複製人間だった。

ノヴァは一瞬、足の力が抜けるのを感じた。彼女は座り込み、自分とそっくりな死体を見て涙を流した。もうこれ以上、何が重要だというのか?これまでノヴァが感じてきた全ての感情と記憶、考えは偽物だった。いや、本物の複製品に過ぎなかったのだ。



▲ ノヴァと同じ姿をした者が散らばっている。


そんなノヴァの姿を黙って見ていた闇の精霊は、興味深い提案をした。現在ノヴァは、本物のフランチェスカ・セリックと全く同じ外見、そして同じ記憶を持っている。実は彼女自体がフランチェスカ・セリックだと名乗っても、誰も何も言えないだろう。つまり、本物を殺してしまい、ノヴァが本物になれば何の問題もない。

フランチェスカ・セリックも分かっていたはずだ。複製人間と自分自身が共存できないということを。だからこそ、彼女はSの招待状でノヴァを陥れたのだろう。そして、ここで死を迎えた他のオーネルたちも彼女にやられたことは明らかだった。

「そのアヒブが言った試験がこれか。ただ最初のフランチェスカ・セリックに勝つ強力な戦士を探すだけだった。私の生存とは関係なく。」

しかし、周囲を見回してもフランチェスカ・セリックの姿はなかった。ノヴァにそっくりな死体が散らばっているだけだった。彼女は席を外しているのか、それともすでに別のオーネルにやられて、そのオーネルがフランチェスカ・セリックになりすましているのだろうか?

ノヴァはゆっくり体を起こした。さきほどの怒りは消え去り、冬のように冷たい寒気だけが彼女の胸に漂っていた。彼女は近くにあったフランチェスカ・セリックの日誌であろう本を手にした。その本には、自分の複製人間を全て処理し、カルフェオンの王座を取り戻すというフランチェスカの意志が込められた文章がしたためられていた。

フランチェスカ・セリックの日誌

エキドナは、才能を開花させた子どもたちを再びクトゥランの根へと連れていった。彼らは腕にクトゥランの棘を纏い、そこから発現する武器を自由自在に扱った。その才能というのは…歪んだ女神からの贈り物だ。彼女を楽しませると、手に入れられる贈り物。私の姿や記憶を持った者たちが、毎日のように私のところに来て、鉄槌を抜いて飛びかかってくる。頭がおかしくなるような状況の中で、父の話を思い出した。

「この世に血に染まらぬ王座はない」

そう…これは女神から与えられた試練に過ぎない。これがまさに、才能を得るための試練に違いない。勝たなければならない。私の存在は他の何者にも代えられない。私は完全なる者として、孤高に存在しなければならない。カルフェオン王国の正しき後継者は、この私だ。この試練の末に、真の棘の女帝となり我が王国を取り戻すだろう。


▲ 全てが同じなら、本物を殺して自分たちが本物になろうという闇の精霊

 

古代の石室

幼いクトゥランの誕生と棘の女帝


「堂々と他人の日誌を盗み見るとは、他の者たちよりも疎ましいな。」

ノヴァはハッと息を漏らし、武器を手にして後ろを振り返った。フランチェスカ・セリックだった。いや、もしかしたら彼女の姿をした別のオーネルかもしれない。

「これで何回目か、もう数えることもできないが…。私に勝つことはできない。今まで誰も勝つことができなかったんだ。あなたたちはただ、私の姿と記憶を持った殻に過ぎない。私は、本物のフランチェスカ・セリックだということを証明できる。あなたがSの招待状をカリス議会に送ったのか?それとも王の鍵でも持っているのか?」

フランチェスカ・セリックは軽蔑に満ちた声でこう話した。そうだ、ノヴァにはフランチェスカ・セリックの父親、ダハード・セリックが与えた王の鍵がない。Sの招待状を送ってもいない。歪んだ女神の力を受け入れ、イレズラの地で軍隊を作ったのもフランチェスカ・セリックであり、ノヴァではない。だが…闇の精霊は言った。ノヴァは十分に彼女になれる



▲ ノヴァを待っていたかのようにフランチェスカ・セリックが現れた。


「あなたと私が記憶を共有しない最初の境界で、あなたを殺し、歪んだ女神から認められるんだ!」

フランチェスカ・セリックの叫びと共に、ノヴァは瞬間的に体がどこかに吸い込まれていくのを感じた。気がつくとそこは古代人の石室で、目の前には滅亡したオルゼカの古代神木であり、黒いいばら、幼いクトゥランの姿があった。ノヴァは本能的にその木に手を伸ばし、大祭司長エキドナの声を聞いた。

「戦士たちよ、死を恐れるな。あなたたちの血と魂が、クトゥランを蘇らせるのだ…。」

この幼いクトゥランは、これまでフランチェスカに殺されたオーネルたちの血を飲んで育ったようだった。ところがその瞬間、背後からフランチェスカ・セリックの声が聞こえてきた。

「この戦いの勝者はいつも私だった。あなたの血さえあれば、クトゥランは完全なものとなる。たった一人生き残る私だけが、真の棘の主となり、カルフェオン王国を取り戻すのだ。」

もう戸惑うことはなかった。ノヴァは大声を上げながらフランチェスカに突進し、容赦なく鉄槌を叩きつけた。しかし、ノヴァと同じ寒気の力を使うフランチェスカも簡単には倒れず、二人は日が暮れるまで死闘を繰り広げた。

「…オレと一緒なら、怖がる必要はないと言ったじゃないか!キキッ!オレたちがフランチェスカ・セリックを殺したんだ!」

息を荒げるノヴァの足下には、無表情のフランチェスカ・セリック、いや、偽物のオーネルが倒れていた。本物のフランチェスカ・セリックは、ノヴァだったのだ。フランチェスカの頭から流れ出た血が幼いクトゥランの根を濡らすと、血を吸収した幼いクトゥランは赤い光を放ち、ノヴァを呼んだ。

ノヴァが幼いクトゥランに近づくと、黒いいばらが彼女の腕を包み込んだ。それは、いばらの女神の贈り物だった。ノヴァの頭の中にエキドナの子どもたちに関する記録が思い浮かぶ。「才能を開花させた子どもは、腕にクトゥランの棘を巻き、そこから発現する武器を、自由自在に扱いながら、敵を虐殺した…。」

エキドナの声も聞こえてきた。「…クトゥランの棘を纏った戦士たちよ、あなたたちがまさに生きたクトゥランだ。あなたたちが生きている限り、オルゼカは永遠となる。棘の武器は、永遠を条件にクトゥランを創造された、いばらの女神からの贈り物だ。」

女神の贈り物を受け取ったノヴァは、横になっているフランチェスカ・セリックに近づき、彼女の所持品を漁った。すると指先に冷たくて固いものが当たったのを感じられた。ダハード・セリックの「王の鍵」だった。その鍵を手に取ったノヴァの顔には、とても満足そうな笑みが浮かんでいた。

「これで私が…棘の女帝、フランチェスカ・セリックだ。」



▲ 棘の主になるため血闘を繰り広げるフランチェスカとノヴァ


▲ フランチェスカの血で成長した幼いクトゥラン


▲ 王の鍵を手に入れたノヴァ彼女のストーリーは終わっていない。

「ああ、父よ。私を見捨てるおつもりですか!あなたも私のように、数多くの自分と戦わなければならないだろう。あなたの息が止まるそのときまで…永遠に…」- フランチェスカ・セリックが残した最後の言葉


前回までの内容はこちら

▶黒い砂漠ストーリー #1 - 年代記・上編へ

▶黒い砂漠ストーリー #2 - 年代記・下編へ

▶黒い砂漠ストーリー #3 - バレノス地域へ

▶黒い砂漠ストーリー #4 - セレンディア地域・上編へ

▶黒い砂漠ストーリー #5 - セレンディア地域・下編へ

▶黒い砂漠ストーリー #6 - カルフェオン地域・上編へ

▶黒い砂漠ストーリー #7 - オージェの切ない恋の物語、カルフェオン分岐2編へ

▶黒い砂漠ストーリー #8 - 誰も信じられない権力の都市、カルフェオン分岐3編へ

▶黒い砂漠ストーリー #9 - 明かされる古代神とエリアン教の秘密、カルフェオン最終編

▶黒い砂漠ストーリー #10 - シラレの不吉な予言と疑念、メディアプロローグ編

▶黒い砂漠ストーリー #11 - イレズラの闇の痕跡を追って、メディア分岐 1編へ

▶黒い砂漠ストーリー #12 - 隠されたネルダ・シェンの内情、メディア分岐 2編へ

▶黒い砂漠ストーリー #13 - 冒険者の正体は闇の力の器?へ

▶黒い砂漠ストーリー #14 - 蛾は結局、明かりの方へ。避けられない運命に呼び寄せられ。へ

▶黒い砂漠ストーリー #15 - バレンシア建国の秘密、その中には冒険者がいたへ

▶黒い砂漠ストーリー #16 - 血と復讐のカーマスリビア、美しい顔の裏へ

▶黒い砂漠ストーリー #17 - キャサリン・オーネット、彼女は本当に美しい姫だったへ

黒い砂漠ストーリー #18 - ドベンクルンに影を落とす赤い影、ガーモスの登場へ

黒い砂漠ストーリー #19 - おさまった火種、しかし脅威は存在するへ

黒い砂漠ストーリー #20 - 事実、人間こそが最も恐ろしい生き物だ(星の墓場)へ

黒い砂漠ストーリー #21 - 輝くカーマスリブ、迫り来る闇(オーディリタ 1編)へ

黒い砂漠ストーリー #22 - グランディーハ神託の決定(オーディリタ 2編)

黒い砂漠ストーリー #23 - 全ては最初から計画されていたへ

黒い砂漠ストーリー #24 - 最期を見届けてくれて、ありがとう。へ

黒い砂漠ストーリー #25 - ベディルの過去とブロリナの足跡へ

黒い砂漠ストーリー #26 - ハドゥムに対抗する最初の準備、オルンの心臓へ

黒い砂漠ストーリー #27 - 母が黒い太陽を昇らせるでしょうへ

黒い砂漠ストーリー #28 - ハドゥム=復讐のシルビア?明らかになる神々の秘密へ
黒い砂漠ストーリー #29 - 不均衡な宝石と二人の女王の信仰へ
黒い砂漠ストーリー #30 - イレズラの罠にかかる、バアマキア・上編へ
黒い砂漠ストーリー #31 - 覚醒したアトラクシオン、バアマキア・下編へ
黒い砂漠ストーリー #32 - 無効状態となった古代要塞、シガラキアへ
黒い砂漠ストーリー #33 - 黒い女神とオルの裏切りへ
黒い砂漠ストーリー #34 - この世が再び建て直される祝祭へ
黒い砂漠 ストーリー#35 - 10万のアトルとシガの脱出へ
黒い砂漠ストーリー外伝 #1 - 盗んでこそ、盗掘王へ
▶黒い砂漠ストーリー外伝 #2 - 椿が散った日へ
黒い砂漠ストーリー外伝 #3 - ウォーリア、ゴイェン傭兵団の兄弟へ
黒い砂漠ストーリー外伝 #4 - レンジャー、精霊剣の継承者へ
▶黒い砂漠ストーリー外伝 #5 - 偉大なソーサレス

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